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妊娠力を上げるお肉の食べ方と注意点【管理栄養士 監修】

妊娠を意識しはじめたら、毎日の食事で「お肉」をしっかり食べるようにしましょう。

お肉は太りそうだからと控えている方は、妊活に必要なタンパク質が不足しているかもしれません。

牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類は、良質なタンパク質が豊富なうえに、吸収が良く、効率的にとれるのが大きなメリット。妊娠するための体づくりには、お肉のタンパク質をしっかりとることが欠かせません。

ということで今回は、妊娠力を上げるために役立つ肉類の栄養素と食べ方のポイントおすすめの種類食べるときの注意点などを解説します。

お肉を上手に食べて、妊娠しやすい健やかな体づくりをはじめましょう!

妊娠力アップに役立つ「肉類の栄養」とは?

肉類には、さまざまな栄養素が含まれますが、妊娠力アップに役立つ代表的なものは、タンパク質、鉄、ビタミンB12、亜鉛、コレステロールの5つです。それぞれの働きについてみていきましょう。

肉類の代表的な栄養素

タンパク質(体をつくる材料になる)

肉類に豊富な動物性タンパク質は、吸収が良く、効率的に栄養摂取できるのが特徴です。

タンパク質は、皮膚や筋肉、内臓など、私たちの体づくりの材料になるほか、妊娠するために欠かせない性ホルモンや卵子、精子、赤ちゃんの体づくりにも使われます。

不足すると、体力や免疫力、思考力など体全体の機能の低下を招き、妊娠するための基礎力が下がります。妊娠力を上げるために、タンパク質はもっとも大切な栄養素です。

鉄(子宮の環境を整える)

肉類の赤身には、鉄が豊富に含まれています。

鉄は、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があり、肉類など動物性食品に多い「ヘム鉄」は、ほうれん草やプルーンなど植物性食品に多い「非ヘム鉄」より吸収しやすい特徴があります。

鉄は、貧血予防をはじめ、子宮の環境を整える作用や、冷えを解消する作用があり、タンパク質と同じく、妊活に欠かせない栄養素です。女性は鉄不足になりやすいので、日ごろから意識してとる必要があります。

貧血の状態が続くと、生理不順やホルモン分泌の低下を引き起こし、不妊の原因に。めまいや立ちくらみ、疲れやすい、息切れ、頭痛などの症状があるときは、鉄が豊富なお肉をしっかり食べるようにしましょう。

ビタミンB12(貧血予防)

ビタミンB12は、葉酸と協力して赤血球の生成をサポートし、貧血を防ぎます。

妊娠初期には、胎児の中枢神経系の発育に関わるので、不足すると発育不全や運動障害などを起こす可能性があります。野菜など植物性食品にはほとんど含まれないので、妊活中はお肉を食べて、ビタミンB12が不足しないように気をつけましょう

ビタミンB12は水に溶ける性質を持つ水溶性ビタミンなので、スープごと食べられる調理法にすると、栄養を逃さずとれます。

亜鉛(生殖能力を高める)

亜鉛は、豚レバーや牛ひき肉などの肉類に多く含まれています。

精子形成や前立腺の働き、精子の運動と活性化などにかかわるので、妊活中の男性に必須の栄養素です。亜鉛が欠乏すると、生殖能力が減退し、意欲や性欲も低下するといわれています。

亜鉛には女性ホルモンの作用を高める働きや、子宮粘膜を形成する作用などもあり、妊娠初期は、赤ちゃんの成長にもかかわるので、女性も妊娠前からしっかりとっておくことが大切です。

インスタント食品をよく食べ、飲酒する機会が多いと、亜鉛不足になりやすいので、なるべく自然のものを食べ、飲酒はほどほどにしましょう。

コレステロール(ホルモンの材料になる)

肉の脂には、脂質の一種である「コレステロール」が含まれています。

コレステロールは、病気や肥満の原因になるような悪いイメージがありますが、妊娠するためには適量とらなくてはいけません。なぜなら、男性ホルモンも女性ホルモンもコレステロールを材料にして作られるからです。

コレステロールが不足するとホルモンバランスを崩しやすくなり、女性は排卵に影響し、月経不順や無排卵を引き起こす可能性があります。また、免疫力が低下して風邪などの感染症にかかりやすくなることもあるので注意が必要。

ただし、コレステロールを必要以上にとりすぎると、肥満や動脈硬化、心筋梗塞などのリスクが上がるので、脂身の多い肉は食べすぎに気をつけましょう。

妊娠力アップにおすすめの肉類

食用として利用される肉類のうち、妊娠力アップに良い影響があるおすすめの種類をご紹介します。食材選びの参考にしてくださいね。

妊娠力アップ 肉

牛赤身肉

牛肉は、妊娠しやすい体づくりに欠かせないタンパク質をはじめ、ヘム鉄、ビタミンB12、亜鉛などが豊富に含まれています。ヘム鉄は、体への吸収率が高く、貧血予防のほか、子宮環境を整えたり、冷えを改善したりする作用で、妊娠力を上げる効果があります。さらに、亜鉛が生殖機能を高めて、精力アップに役立ちます。

部位では、バラ肉やロース肉に比べて、モモ肉やヒレ肉などの「赤身肉」のほうが、脂肪が少なく高タンパクなのでオススメ。牛肉の赤身には、アミノ酸の一種であるカルニチンが多く、脂質の代謝を助けるはたらきをします。

レバー

レバーは、牛、豚、鶏ともに、鉄やビタミンAが豊富です。造血作用のあるビタミンB12も含まれるので、鉄とともに、貧血や冷え性の予防に役立ちます。ビタミンAは、強い抗酸化作用で、卵子の老化を防ぐ作用があり、特にレバーに含まれるビタミンAは、吸収がよく即効性があるのが利点です。

レバーには、ビタミンA以外にもタンパク質、ビタミンB1、B2、B12、葉酸、亜鉛も含まれています。ビタミンB2は、発育のビタミンとよばれ、細胞の再生をサポートし、亜鉛は不足すると精子や卵子の発育不全や免疫力の低下につながります。

部位では、鉄がもっとも豊富なのは豚レバービタミンB12が豊富なのは牛レバー低カロリーなのは鶏レバーです。用途によって上手に使い分けて下さいね。

豚ヒレ肉

豚肉は、良質なタンパク質や脂質がとれ、ビタミンが豊富。特に疲労回復効果の高いビタミンB1は、牛肉や鶏肉より非常に多く含まれているのですが、豚肉がスタミナ料理によく使われるのはこのためです。

豊富なビタミンB1・B2が、糖質や脂質をエネルギーに変える作用があるので、代謝アップやむくみ改善、ストレスの軽減効果が期待できます。

部位では、ロース肉やバラ肉、モモ肉より、低脂肪高タンパク質な「ヒレ肉」がおすすめ。ビタミンB1がほかの部位よりも多く含まれているので、妊活中の疲労回復やスタミナアップには、豚ヒレ肉を使ったメニューを選ぶと効果的です。

鶏むね肉

鶏肉は牛肉や豚肉と比べて低脂肪で消化吸収がされやすく、胃腸にやさしいので、食欲がないときなどでも食べやすいのが利点です。

鶏肉は、良質なタンパク質のほか、ビタミンA、B2、B6も多く含むのが特徴。ビタミンAは、免疫力を高める効果や、皮膚、粘膜を健康に保つ効果があります。ビタミンB2、B6は、タンパク質の代謝を促します。

部位としては、脂肪が少なくヘルシーな「鶏むね肉」がおすすめ。抗酸化や疲労回復に効果があるといわれるイミダペプチドも豊富なので、疲れが気になるときに役立ちます。

ラム肉(羊肉)

ラム肉は、牛肉よりもタンパク質が豊富に含まれていますが、注目すべきは「L-カルニチン」と呼ばれるアミノ酸の効果です。

L-カルニチンは、脂肪の燃焼を促す効能があるので、妊娠へ向けてダイエットしたい方にオススメ。持久力の向上や疲労回復、脳の活性化などの効果も期待できます。さらに、鉄、亜鉛、ビタミンB1も豊富で、妊娠力アップに役立ちます。

ラム肉は、ほかの肉より食べる機会は少ないですが、最近はスーパーなどでも手に入りやすくなったので、ぜひ利用してみて下さいね。

妊娠力を上げるお肉の食べ方

肉類を食べて、妊娠力を上げるためにどれくらいの量をどのように食べればいいのかをみていきましょう。

1食あたり「手のひらひとつ分」の量をとる

肉類は、1食あたり100g程度をとるようにしましょう。100gの目安は「手のひらひとつ分」。

さらに、魚介類、卵、大豆製品のうちどれかを、手のひらひとつ分とり、1食で手のひら2つ分のタンパク質源となる食品をとるのが理想です。

種類を変える

毎日同じ種類の肉類を食べるのではなく、日によって牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉などと変えて食べましょう。そうすることで、タンパク質をはじめとする栄養素の種類が変わり、より効率的に栄養補給ができます。

同じ種類のお肉ばかり食べていると、体質によっては、アレルギーの原因になることもあります。

野菜と一緒に食べる

お肉を食べるときは、かならず野菜も一緒に食べましょう。

お肉に含まれる栄養素には、野菜と一緒に食べることで、体内への吸収が良くなるものが多いからです。

たとえば、レバーは、ビタミンCと一緒に摂ると、鉄の吸収が良くなります。レバーをピーマンやパプリカと一緒に炒めたり、レモンなどの柑橘類をかけたりするといいでしょう。

また、お肉だけを食べると、食物繊維不足で、便秘になりやすいので、お肉の量の3倍程度の野菜をとるのが理想です。

ビタミンB群を組み合わせて

タンパク質は、ビタミンB群が不足すると代謝ができず、体内で上手に利用できません。そのため、肉類はビタミンB群とセットでとると、効率的に栄養の吸収ができます。

ビタミンB群は、玄米や胚芽米、全粒粉パンなどのほか、大豆や豆腐などに多く含まれていますので、お肉と一緒に雑穀米を食べるのがおすすめの組み合わせです。

妊活中に肉類を食べるときの注意点

妊娠力を上げるためには、栄養豊富な肉類を積極的に食べてほしいですが、健康と安全を守るために、注意すべき点を覚えておいてください。

生肉は避けて

妊活中は、生肉や加熱が不十分な肉を食べるのは避けましょう。生肉に潜む「トキソプラズマ」という寄生虫に感染すると、食中毒を起こす恐れがあるからです。

もし、妊娠していると、免疫力が低くなるので、ひどい症状が起こる可能性があるうえに、胎児にも感染するリスクがあります。とくに、レバーは生で食べると重篤な食中毒の危険性があります。

今は、生食をする生肉の販売や提供が禁止されているので、食べる機会はないと思いますが、バーベキューや自宅で、肉類の調理をするときは、中心部に火が通るまでしっかり加熱してから食べるようにしましょう。また、生肉を触ったトングや箸、皿などを使って食べたり、ほかの料理に触れたりしないように気をつけて下さい。

レバーは食べすぎない

レバーは、妊娠力アップにおすすめと書きましたが、食べすぎには注意して下さい。

レバーに含まれるビタミンAを、妊娠初期に過剰にとりすぎると、先天性異常など胎児奇形の危険性があります。

厚生労働省が定めているビタミンAの耐容上限量は、18 歳以上の成人女性で1日あたり2,700 µgRAE(レチノール活性当量)です。具体的な量としては、鶏レバーと豚レバーは20g程度、牛レバーは200g程度になります。鶏レバーと豚レバーは、毎日食べたり、1回で大量に食べたりするのはやめましょう。

カロリーのとり過ぎに気をつけて

肉類は、種類や調理法によっては、脂肪分が多くなり、カロリー過多で、肥満につながります。体重や血中脂肪が気になる方は、脂身の少ない牛モモ肉や豚ヒレ肉、鶏むね肉などを選びましょう。

また、から揚げやとんかつなど、揚げ物や炒め物のような油を使う調理法は、高カロリーになるので、豚しゃぶや煮物など、油を使わない調理法を工夫しましょう。

「妊娠力を上げるお肉の食べ方と注意点」まとめ

今回は、妊娠する力を上げるお肉の食べ方のポイントと注意点についてみてきました。

肉類は、良質なタンパク質をはじめ、鉄、ビタミンB2、亜鉛、コレステロールなど、妊活中にとりたい栄養素が豊富にとれる食材です。

  • タンパク質
    体をつくる材料になる。性ホルモン、卵子、精子、赤ちゃんの体づくりにも使われる。

  • 子宮の環境を整える。貧血予防。吸収のよいヘム鉄が豊富。
  • ビタミンB2
    葉酸と一緒に貧血予防。妊娠初期に必要。
  • 亜鉛
    生殖能力を高める。男性の妊活に不可欠。
  • コレステロール
    ホルモンの材料になる。過不足なく摂る。

さあ、今日からおいしいお肉をしっかり食べて、妊娠しやすいからだづくりとスタミナアップで、妊娠力をぐんっと上げていきましょう。

【参考URL】
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書
P176ビタミンA成人・高齢者(耐容上限量)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586561.pdf
【参考書籍】
成美堂出版「栄養の基本がわかる図解事典」神奈川県立保健福祉大学教授 中村丁次監修
日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年