当サイトは一部プロモーションを含みます

妊活中の妊娠体質づくりは正しい糖質制限で【管理栄養士 監修】

糖質制限といえば、ダイエットのための食事法としてよく知られていますが、妊活においても、糖質をとり過ぎないほうがいいことを知っていますか?

ごはんやパン、甘いものなどに多く含まれる糖質は、エネルギー源として必要ですが、とり過ぎると、肥満をはじめ、低血糖症やホルモンバランスの乱れにつながり、妊娠を遠ざける要因になります。

そこで、今回は、妊娠体質になるための食事法として、正しい糖質制限のやり方を解説してみましょう。

糖質制限は、間違った方法で行うと、栄養が不足したり、バランスが乱れたりして、妊活に悪影響を及ぼすことがあります。正しい糖質制限のやり方を知り、無理のない範囲で行ってくださいね。

糖質制限とは?

「糖質制限」とは、食事からとる糖質の量を減らして、血糖値をコントロールすることで、減量や糖尿病の予防・治療をする食事法です。

具体的には、主食のごはんやパン、めん類などの量を減らして、肉や魚、野菜などのおかずをしっかり食べます。

従来のカロリー制限では、食事全体の量を減らすため、空腹をがまんしなくてはいけませんが、糖質制限では、糖質が主成分の食品さえ減らせば、ほかの食品は普通に食べられるので、食事制限のストレスは少なくなります。

また、面倒なカロリー計算をする必要がなく、わかりやすいため、誰でも実践しやすいのが特徴です。

糖質のとり過ぎが妊娠を妨げる理由

糖質を制限することで、肥満や糖尿病を予防できることはわかりますが、なぜ、妊娠にも影響を与えるのでしょうか?糖質のとり過ぎが、妊娠を妨げる理由をみていきましょう。

ホルモンバランスが乱れて排卵障害の原因になる
私たちが糖質を含む食品を食べると、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が急激に上昇します。血糖値が上がると、インスリンというホルモンが分泌されて、ブドウ糖は細胞に取り込まれ、エネルギーとして利用されます。その結果、血糖値は正常値に下がります。糖質を適量とっていれば、この機能が正常に働き、健康を維持することができます。しかし、糖質を多くとりすぎると、インスリンが過剰に分泌されて、血糖値が安定しなくなり、自律神経が乱れ、低血糖を引き起こします。低血糖の状態が続くと、ホルモンのバランスが乱れて、排卵障害の原因になります。また、子宮内膜症(子宮内膜が子宮外で増殖する病気で不妊の一因になる)の発症や進展が促されることもあります。

低血糖症になると精神面の不調が起こりやすい
糖質のとり過ぎで、低血糖症(血糖調節異常)になると、さまざまな精神面の不調が出やすくなります。例えば、空腹時にイライラする、食後に強い眠気を覚える、理由なく不安感に襲われる、集中力が続かない、急に悲しくなるといった症状です。このような状態になると、ストレスを強く感じたり、意欲がなくなったりと、妊活へ悪い影響を与えてしまいます。妊娠中も低血糖症が続くと、産後うつになりやすいので注意が必要です。

肥満が不妊の原因になる
ごはんやパン、甘いものなど、糖質を多く含む食品を食べすぎると、太りやすくなります。肥満になると、生理不順や排卵障害になるリスクが高くなり、不妊の原因になるといわれています。また、妊娠すると、今以上に体重管理が厳しくなります。妊娠中に体重が増えすぎると、母体にも胎児にも悪影響を与え、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、巨大児になるといったリスクが高くなるからです。妊娠前から、糖質のとり過ぎに気をつけて、体重が増えすぎないように管理することが大切です。

妊娠体質になる正しい糖質制限のやり方

毎日の食事で妊娠しやすい体質になるために、すぐに実践できる正しい糖質制限のやり方をみていきましょう。

ごはんやパンなどの主食(糖質)の量を減らす
糖質制限で一番大切なことは、糖質を含む食品をとる量を減らすことです。ごはん、パン、めん類などの主食や、ケーキ、クッキー、和菓子など砂糖を多く使った甘いものは、糖質が多く含まれていて、血糖値がすぐに上がってしまうので、とり過ぎないようにしましょう。

主食を減らすのが難しい場合は、白米や白いパンの代わりに、玄米や全粒粉パンなど精製されていない穀物を使ったものを選ぶと、食物繊維も一緒にとれるので、血糖値の急上昇を防げます。

おかず(タンパク質・食物繊維)をしっかり食べる
主食を減らした分の栄養は、おかずの肉や魚、豆腐、野菜などからしっかりとりましょう。とくに、妊活中は、体をつくる栄養素のタンパク質を十分にとる必要があります。肉、魚介、豆腐、卵などタンパク質を多く含むおかずを毎食欠かさず食べて下さい。

野菜や海藻類に豊富な食物繊維には、糖質の吸収を妨げる働きがあり、血糖値のコントロールに役立ちます。食物繊維が多く含まれる葉物野菜や海藻、きのこ類などを、積極的に食べるようにしましょう。

ただし、じゃがいも、さつまいもなどのいも類や、人参、れんこん、ごぼうなどの根菜類は、糖質が多いので、たくさん食べすぎないように気をつけて下さい。

食べる順番を意識する
糖質制限では、食べる順番も意識することで、血糖値が急激に上がるのを防げます。食べる順番は、「野菜(食物繊維)→おかず(タンパク質)→ごはん(糖質)」です。まず、副菜の小鉢やサラダ、汁物などの野菜を食べ、それから、主菜の肉や魚、豆腐などのおかずを食べ、最後に主食のごはんを食べます。

この順番に食べることで、糖質がゆっくりと吸収され、血糖値がうまくコントロールできるようになります。

間食は糖質の少ないものを選ぶ
糖質制限では、おやつ(間食)のとり方も大切です。食事をとってから、次の食事までの時間が長くなりすぎると、血糖値の上下が激しくなるので、お腹が空き過ぎる前に、上手に間食をとりましょう。

間食には、血糖値が上がりやすい甘いお菓子やスナック菓子などは避け、ナッツ、チーズ、ゆで卵など低糖質高タンパクの食品を選びましょう。妊活中に必要なタンパク質の補給ができる上に、腹持ちがいいのもおすすめのポイントです。果物は、ビタミン類や食物繊維がとれるので、間食にいいですが、糖質の少ないグレープフルーツやいちご、キウイなどを選びましょう。

よく噛んで食べる
食事は、よく噛んでゆっくり食べるように心がけましょう。早食いをすると、糖質が短時間で吸収され、血糖値が急上昇してしまいます。また、よく噛むことで満腹中枢を刺激して、食べすぎを防いだり、唾液の分泌を促して、消化が良くなったりします。

どうしても早食いをしてしまう方は、こんにゃくや海藻、きのこなど、しっかり噛まなくてはいけない食品をおかずに使って、よく噛む習慣を身につけましょう。

糖質の多い食品・少ない食品を覚えよう

妊活中に糖質をとり過ぎると、血糖値のコントロールが悪くなり、ホルモンバランスが乱れ、排卵に悪影響を及ぼします。そのため、糖質の多い食品はなるべく控えて、糖質の少ない食品を選ぶことが大切です。

  • 穀物類(ごはん、めん、パン、粉もの、コーンフレークなど)
  • いも類(じゃがいも、さつまいも、山芋など)
  • 根菜類(人参、ごぼう、レンコン、ゆりねなど)
  • 果物類(バナナ、マンゴー、桃、ブドウ、柿など)
  • 菓子類(ケーキ、クッキー、まんじゅう、ようかんなど)
  • ジュース類(炭酸飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料など)
  • 肉類(牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉など)
  • 魚介類(さば、まぐろ、カツオ、鮭など)
  • 卵(鶏卵、うずら卵など)
  • 乳製品(牛乳、無糖ヨーグルト、チーズなど)
  • 海藻類(ワカメ、昆布、もずくなど)
  • きのこ類(しいたけ、しめじ、えのきなど)
  • 根菜類以外の野菜(もやし、ほうれんそう、小松菜、ブロッコリーなど)

糖質制限時の上手な外食の選び方

糖質制限をすると悩むのが、外食の選び方ではないでしょうか?和食、洋食、中華それぞれの料理の選び方のコツをみていきましょう。

妊活中 糖質制限 外食

和食
和食は、おかずとごはんを一緒に食べるので、どうしても糖質量が多くなりがちです。定食の場合は、刺身、焼き魚、しょうが焼き、湯豆腐など、タンパク質のおかずを中心に選び、ごはんの量は半分程度に減らすといいでしょう。納豆や冷奴などの小鉢を足せば、エネルギー不足を補えます。

牛丼、親子丼、かつ丼など主食の単品はなるべく避けたいですが、選ぶ場合は、ごはんの量を減らして、サラダや小鉢、具だくさんみそ汁などの副菜をプラスしましょう。

洋食
イタリア料理は、パスタ、ピザ、パエリア、フリット、リゾットなど、糖質が多くなりがちです。これらの料理は少なめにして、サラダや魚料理、肉料理を選ぶといいでしょう。フランス料理は、バターや生クリームを使った料理が多く、高脂肪になりますが、糖質は少なめです。バゲットやポテト、パイ、デザートは、糖質が多いので、控えめにしましょう。

中華
中華料理は、ラーメン、チャーハン、餃子、シューマイ、春巻きなど、糖質が多く含まれるものが多いので要注意です。ラーメンとチャーハンのセットなど、糖質をダブルでとるメニューを選ぶのは避け、チンジャオロース、レバニラ炒め、ピータンなど、糖質は少なく、タンパク質がとれる料理を選びましょう。

妊活中の糖質制限で避けたいこと

糖質制限はやり方によっては、妊活の役に立たないばかりか、健康を害してしまうこともあります。妊活中の糖質制限で避けたいことを覚えておきましょう。

糖質を一切とらないのはダメ!

妊活中の糖質制限では、糖質を一切とらないという極端な食事制限は絶対にやめましょう

糖質は、妊娠するために必要なエネルギー源になるので、完全に制限してしまうと、エネルギー不足でやせすぎたり、体調不良を引き起こしたりする危険性があります。

あまりストイックになると、食事を楽しめないばかりか、精神的に追い詰められて、妊活中に避けたいストレスがたまってしまいます。無理のない範囲で、糖質をとり過ぎないようにすることが大切です。

たとえば、主食を朝、昼は普通に食べて、夕食だけ抜くか半量にするゆるい糖質制限から始めてみてはいかがでしょうか?

肥満気味で、妊娠までに減量したい方や血糖値が高めの方は、主食を朝は半量にして、昼は普通に食べる、夕食は抜くといった感じで様子を見ながら行うといいですね。体質や生活に合わせて続けられる形で糖質制限をしていきましょう。

食事全体の量を減らすのはダメ!

今までの食事から、糖質を含む食品を減らすだけだと、食事全体の量が減り、エネルギーや栄養が不足してしまいます。

エネルギーが不足すると、脂肪を蓄えやすくなり、筋肉量が減って代謝が悪くなるので、太りやすくやせにくい体になってしまいます。また、必要な栄養がとれないと、妊活に大敵の冷えや貧血などの原因にもなります。

妊活中の糖質制限では、食事全体の量が減って、タンパク質や脂質などの栄養素が不足することは避けなくてはいけません。エネルギーや栄養不足にならないように、ごはんやパンを減らした分は、肉、魚、豆腐、野菜などを十分にとり、食事全体のバランスを整えるようにしましょう。

「正しい糖質制限で妊娠体質づくり」まとめ

今回は、妊娠体質になるための食事法として、正しい糖質制限のやり方をみてきました。妊娠しやすい健康な体づくりのためには、糖質のとり過ぎに気をつけて、血糖値を安定させることが大切です。

  • ごはんやパンなどの主食(糖質)の量を減らす
  • おかず(タンパク質・食物繊維)をしっかり食べる
  • 食べる順番を意識する
  • 間食は糖質の少ないものを選ぶ
  • よく噛んで食べる

糖質制限は、あまり厳しく行うと、ストレスになってしまうので、糖質を含む食品を食べる量を、今より2~3割程度減らすところからはじめてみてはいかがですか?

糖質をバランスよくとって、妊活に良い食生活を続けていきましょう。

【参考書籍】
主婦の友社「新糖質量ハンドブック」管理栄養士 大柳珠美監修
池田書店「赤ちゃんがほしい人のための栄養レシピ」栄養カウンセラー 定真理子著/大宮レディースクリニック院長 出居貞義監修