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不妊治療の効果を高める食事のとり方【管理栄養士 監修】

不妊治療を行っている方や、そろそろ始めようかと考えている方は、検査や治療と並行して、食事のとり方を見直しましょう。

なぜなら、妊娠に必要な栄養をしっかりとり、子宮や卵巣の状態を良くして、ホルモンの分泌を整えれば、不妊治療の効果をより高めることができるからです。

医療技術がどんなに進んでも、妊娠する女性の体が健康でなければ、効果を十分に発揮することはできません。

ということで、今回は不妊治療の効果を高める食事のとり方についてみていきましょう。月経周期に合わせた食事を上手にとって体調を整える方法もご紹介。不妊治療中は心身の負担が大きいので、無理のない範囲で食事の改善に取り組んでいきましょう。

不妊治療中の食事の役割とは?

不妊治療を始めたら、なぜ食事のとり方を見直す必要があるのでしょうか?

不妊治療中の食事にはどのような役割があるのか、大切な6つの役割について説明します。

1)妊娠するための体の基礎をつくる

不妊治療中の食事の役割で、もっとも大切なのは、妊娠するための体の基礎をつくることです。妊娠に必要な栄養素はたくさんありますが、一番大切なのは「タンパク質」です。

タンパク質は、皮膚や筋肉、血管、内臓はもちろん、酵素やホルモンにいたるまで、私たちの体をつくる材料になり、不足すると妊娠を遠ざけてしまいます。妊娠しやすい体づくりには、タンパク質を十分にとることがとても重要です。肉や魚、乳製品、豆腐など、タンパク質を多く含む食材をしっかりとって、体の基礎づくりを心がけましょう。

妊娠するための体の基礎をつくる食材(タンパク質)

肉類(牛ヒレ肉、牛ロース肉、鶏むね肉、鶏ささみ肉、豚ロース肉)/魚介類(まぐろ赤身、カツオ、うなぎ、ブリ、イカ)/乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)/豆類(大豆、枝豆、そら豆)/大豆製品(豆腐、厚揚げ、がんもどき)・卵など

2)子宮の環境を整える

不妊治療中の食事の役割で、次に大切なのは、妊娠するために重要な役目がある子宮の環境を整えることです。子宮の状態が悪いと治療効果は当然下がってしまいます。

レバーや赤身肉に多い「」は、粘膜をつくる材料になるので、子宮内の環境を整えるために不可欠です。子宮の状態が良ければ、受精卵が着床しやすくなります。鉄をしっかりとることで、血行が良くなり、冷えも解消されるので、妊娠するために良い効果が生まれます。

子宮の環境を整える食材(鉄)

牛・豚・鶏レバー/牛赤身肉/馬肉/コンビーフ/カツオ/まぐろ/サバ/あさり/ほうれん草/小松菜/ひじき/切り干し大根/大豆/豆腐/豆乳など

3)卵子の質を良くする

不妊治療では、卵子の質の良し悪しが、結果を大きく左右します。年齢が進むにつれて、卵子は老化が進み、質が低下してしまいます。不妊治療中の食事は、卵子の老化を防いだり、老化のスピードを遅らせたりして、卵子の質を良くする役割があります。

細胞が酸化(=サビる)することで傷がつくと、卵子の老化が進んでしまいます。酸化の原因になる活性酸素を取り除く作用を持つ「ビタミンC」と「ビタミンE」を積極的にとりましょう。

ビタミンCは、抗酸化作用が非常に強いので、細胞の酸化を防ぎ、卵子の老化を遅らせる効果が期待できます。ビタミンEも同様の抗酸化作用があるほか、排卵の促進や卵巣重量の増加、ホルモンの調整など、妊娠につながる効果をもたらす栄養素です。

卵子の老化を防ぐ食材①(ビタミンC)

グレープフルーツ/イチゴ/キウイ/レモン/柿/パプリカ/カリフラワー/モロヘイヤ/ゴーヤ/かぶ葉/大根葉など

卵子の老化を防ぐ食材②(ビタミンE)

アーモンド/ヘーゼルナッツ/かぼちゃ/アボカド/ほうれん草/モロヘイヤ/ひまわり油/なたね油/コーン油/たらこ/うなぎ/カツオ/サンマ/玄米/胚芽米など

4)精子の運動率を上げる

不妊治療中の食事は、妊娠に大きく関係する精子の運動率を上げる役割があります。

妊活中の男性に欠かせない栄養素である「亜鉛」は、精子形成や前立腺の働き、精子の運動と活性化に関わっています。不足すると、精子の運動率が下がるほか、性欲が低下するといわれています。

加工食品に偏った食事やアルコールの多飲は、亜鉛不足になりやすいので、気をつけましょう。亜鉛は成人では1日に10~20mgの摂取が目安となり、牡蠣なら2~3粒程度を食べれば、必要な量を補給できます。亜鉛は、女性ホルモンの作用を高めるはたらきもあるので、女性も積極的にとりましょう。

精子の運動率を上げる食材(亜鉛)

牡蠣/カニ/タラコ/ハマグリ/うなぎ/牛・豚・鶏レバー/牛肉/ラム肉/コンビーフ/カマンベールチーズ/パルメザンチーズ/カシューナッツ/アーモンド/ごまなど

5)ストレスを和らげる

不妊治療は精神面のストレスが強くなりやすいので、食事にはストレスを和らげる役割もあります。

ストレスをがまんしすぎると、女性はホルモンの分泌がうまくいかなくなり、排卵が起こらなくなったり、男性は勃起不全や、精子の減少、運動率が下がったりと、治療に悪い影響を与えてしまいます。

ストレスを無くすことはできませんが、精神を安定させる働きのある「カルシウム」をしっかりとることで和らげる効果が期待できます。

また、通院の日は、ごほうびにケーキを買うなど、おいしいものを食べることで、精神的なストレスを解消するのもいいでしょう。ストレスを感じたら長くためこまず、上手に解消することが大切です。

ストレスを和らげる食材(カルシウム)

牛乳/ヨーグルト/チーズ/煮干し/干しえび/桜エビ/ししゃも/イワシ/豆腐/厚揚げ/ごま/小松菜/モロヘイヤ/大根の葉など

6)胎児の健全な成長を促す

不妊治療中の食事は、治療効果を高めることに加えて、胎児の健全な成長を促すための栄養をとる役割があります。

治療をはじめたら、いつ妊娠してもいいように、「葉酸」を必ずとるようにしましょう。

葉酸は、胎児の脳の発育を助けたり、神経をつくるはたらきがあり、赤ちゃんの成長にとって欠かせない栄養素です。食事だけでは十分にとれない場合があるので、サプリメントなどを利用して確実に摂取して下さい。

胎児の健全な成長を促す栄養素(葉酸)

牛・豚・鶏レバー、葉物野菜(菜の花、ほうれん草、春菊、モロヘイヤ)/グリーンアスパラガス/ブロッコリー/芽キャベツ/枝豆/イチゴ/マンゴー/焼きのり/玉露など

不妊治療の効果を高める食事のコツ

月経周期に合わせた食事で不妊治療の効果を高めるコツ

不妊治療中の食事では、必要な栄養素をバランスよくとるのが基本ですが、月経周期に合わせてタイミングよくとると、より効果的です。

月経周期とは、生理が始まってから、次の生理が始まる前日までの期間を指します。一般的に28日~30日を1周期として、「月経期」、「卵胞期」、「排卵期」、「黄体期」の4段階があります。それぞれの周期に必要な栄養素を意識してとることで、体調が整いやすくなります。

月経周期に合わせた食事で治療効果を高めるコツをみていきましょう。

「月経期」鉄で冷えを予防

月経期とは、生理の始まりから終わりまでの期間です。

生理の不快感や痛みがあるうえに、治療の結果が出ず、がっかりして落ち込みやすい時期でしょう。気分を切り替えて、次の周期を迎えるために、心身をいたわりながら、ゆったりした気持ちで過ごしましょう。

月経期は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が少ない時期なので、体温が下がって体が冷えやすくなります。冷えにより血行が悪くなると、子宮の機能が低下して、生理痛が重くなります。体を冷やさないように気をつけながら、ごぼうやレンコンなど根菜類のみそ汁やしょうが入りのスープなど、体の中から温まる食べ物をとるようにしましょう。

貧血やむくみも起こりやすいので、レバーや赤身肉、ほうれん草など鉄が豊富な食品をしっかりとり、塩辛い食べ物は控えめにするように心がけましょう。

月経期に合わせた食事例

寄せ鍋/ごぼうのポタージュスープ/けんちん汁/豚汁/レバーペースト/筑前煮/ぶり大根/あさりの酒蒸し/ほうれん草のバターソテー/ひじき煮/しょうが紅茶など

「卵胞期」タンパク質で卵子を育てる

卵胞期とは、生理が終わってから排卵が起こるまでの期間です。

卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が増え、体の調子が良くなり、髪や肌もきれいになるので、気分まで明るく前向きになれるでしょう。卵胞期は、不妊治療ではとても大切な「卵子」を育てる期間です。

良い血液を作り、卵胞の成長をうながすために、タンパク質と鉄をしっかりとるのがコツです。レバーや赤身肉、魚の血合いなど、タンパク質と鉄が豊富な食品を積極的にとるようにしましょう。

卵胞期に合わせた食事例

豚肉のしょうが焼き/ニラレバ炒め/ピーマンの肉詰め/鶏ハム/マグロアボカド丼/焼き厚揚げ/厚焼き玉子など

「排卵期」ビタミンB群・亜鉛で精力アップ

排卵期は、月経周期のちょうど中間くらいの頃に、卵巣から卵子が放出される時期です。

卵子が排卵されると、体温が上がり高温期に入ります。卵子と精子が受精するタイミングなので、妊活中では最も重要な時期になります

精力アップのために、豚肉やうなぎなどビタミンB群が豊富な食品や、牡蠣、タコなどタウリンを多く含む食品をパートナーと一緒に食べるといいでしょう。男性は、受精の確率を上げるために、精子の運動率を高める働きのある亜鉛が豊富な食品を積極的にとりましょう。

女性は、排卵をすると、卵巣に炎症が起こりやすくなります。炎症が続くと不妊の原因になってしまいます。炎症を抑えるために、抗酸化力のある青魚(DHA・EPA)や緑黄色野菜(β-カロテン)、アボカド、アーモンド(ビタミンE)などの食品も食べるようにしましょう。

排卵期に合わせた食事例

うなぎ丼/牡蠣グラタン/シーフードスパゲティ/ポークステーキ/煮豚/ブロッコリーとタコのサラダ/コンビーフオムレツ/いわしの煮つけ/さんまの塩焼きなど

「黄体期」ビタミン・ミネラルで妊娠準備

黄体期は、排卵が終わって次の生理が始まるまでの期間です。排卵後、子宮内膜が厚くなり、着床の準備をします。受精卵が着床すると、妊娠につながります。

妊娠に備えるための準備期間なので、ほかの期間よりも多くビタミンやミネラルなどの栄養補給が必要になります。とくに、ビタミンA、ビタミンE、鉄、亜鉛などをしっかりとるようにしましょう。

体内の水分の排泄が悪くなり、むくみや便秘になりやすい時期でもあります。おなかの調子を整えるヨーグルトや食物繊維の多い野菜、豆類や芋類、きのこ類などを意識的にとりましょう。

黄体期の後半は、月経前症候群(PMS)により、乳房のはりや痛み、おなかの痛み、肩こりなど、さまざまな不調が出やすく、心身が不安定になりがち。心の安定のために、チョコレートやフルーツなど甘いものを少量食べるのもおすすめです。

黄体期に合わせた食事例

かぼちゃサラダ/キャロットラペ/豆サラダ/きのこソテー/モロヘイヤスープ/さつまいも甘煮/切り干し大根煮/フルーツヨーグルト/玄米ごはんなど

「不妊治療の効果を高める食事のとり方」まとめ

今回は、不妊治療の効果を高める食事のとり方をみてきました。

4つの月経周期ごとに、分泌される性ホルモンのバランスが変わり、体調や気分が大きく変化します。月経周期ごとにとりたい栄養素と役割をぜひ覚えておいてくださいね。

月経期」鉄で冷えを予防
卵胞期」タンパク質で卵子を育てる
排卵期」ビタミンB群・亜鉛で精力アップ
黄体期」ビタミン・ミネラルで妊娠準備

月経周期に合わせた食事を上手にとり、心身ともに調子を整えて、治療効果アップを目指しましょう。

【参考URL】
ユニ・チャーム ソフィ「生理中は、ココロとカラダにどんな変化がおこるの?」
https://www.sofy.jp/ja/advice/period-changes/11.html

【参考書籍】
青春出版社 「図で見てわかる栄養セラピー 妊娠体質に変わる食事」
栄養カウンセラー 定真理子・きたのはら女性クリニック院長 北野原正高 著