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妊娠体質をつくる5つの栄養素!その働きや上手なとり方とは【管理栄養士 監修】

妊娠したいと考えはじめたら、まずは食事のとり方を見直しましょう。

多くの女性は、妊娠に必要な栄養素が十分にとれているとはいえません。きちんと食べているつもりでも、気づかないうちに栄養不足になっているかもしれないのです。

栄養が足りなかったり、バランスが悪かったりすると、冷え、生理痛、月経不順、疲れやすいなどの不調が出やすく、妊娠を遠ざけてしまいます。反対に栄養が十分にとれると、体調が良くなり、妊娠しやすい体質へとカラダが整います。

ということで今回は「妊娠するために知っておきたい栄養素」のお話しです。

妊娠とかかわりの深い5つの栄養素を取り上げ、その働きや上手なとり方を解説します。

正しい知識で妊活に役立つ栄養改善をはじめましょう。

妊娠と栄養の関係について

はじめに、妊娠するために、なぜ栄養が大切なのかを知っておきましょう。

妊娠するために栄養が大切な理由

栄養のとり方は、妊娠と深い関係があります。なぜなら、卵子や精子の細胞はタンパク質や脂質からできているので、栄養が不足すると、質が悪くなり、妊娠率が下がってしまうからです。

さらに、女性は栄養不足によって、ホルモンバランスが乱れたり、子宮環境が悪くなったりして、妊娠しづらくなることがあります。男性もちゃんと栄養がとれていないと、疲れやすくなり、生殖能力が低下します。

栄養を改善するだけで、自然妊娠できた例も多くありますし、不妊治療をしていても、必要な栄養を意識してとることはとても大切です。

栄養の役割とは?

栄養が妊娠に与える役割を、女性・男性・胎児にわけてまとめてみましょう。

  • 性ホルモンの材料になる
  • 良質な卵子をつくる
  • 子宮環境を整える
  • 妊娠を維持する
  • 性ホルモンの材料になる
  • 良質な精子をつくる
  • 生殖能力を高める
  • 脳,内臓,骨などの正常な発育をうながす

栄養改善で得られる効果

栄養のとり方を改善すると、心身両方の健康度が上がり、妊娠につながる効果が得られます。

栄養改善効果
  • 性ホルモンの分泌が正常化する
  • 生理不順の改善
  • 子宮の状態が良くなる
  • 妊娠中から産後の体調が良くなる
  • 貧血予防
  • つわりが軽くなる
  • 母乳育児がスムーズにできる
  • うつ症状が改善される
  • 胎児の健やかな成長を守れる

栄養改善だけでは解決しない場合も

卵管や子宮などに器質的な問題がある場合は、栄養改善だけで妊娠に結びつくのは難しい可能性があります。また、子宮筋腫や子宮内膜症も、症状によっては時間がかかるかもしれません。まずは、病院で検査を受け、しっかり治療を行いながら、栄養改善も並行して行うことで妊娠体質をつくることができます。

妊娠 栄養素 料理

「妊娠体質」をつくる5つの栄養素

妊娠体質」をつくるためには、栄養バランスの良い食事をとることが何よりも大切です。

栄養素にはいろいろな種類があり、どれも欠かせないものですが、とくに妊娠にかかわりが深く、積極的にとってほしい栄養素5つについて解説します。おもな働きや上手なとり方を参考に、食事改善に役立ててくださいね。

1)タンパク質

タンパク質は、妊娠体質をつくるためにもっとも大切な栄養素。卵子や精子はもちろん、性ホルモンや赤ちゃんのカラダを作るためにも必要です。

タンパク質の主な働き
  • 体をつくる材料になる
  • ホルモンをつくる材料になる
  • 酵素、免疫抗体をつくる材料になる
  • 栄養素や酵素を運ぶ
タンパク質が不足すると

卵子、精子の質低下、ホルモンバランスの乱れ、体力や免疫力の低下、肌あれ、骨や歯が弱くなる、内臓や血管の衰え、筋肉が減る、貧血、細菌やウィルスに感染しやすくなるなどの症状が出ます。

タンパク質の上手なとり方

体重1㎏あたり1~1.5gのタンパク質が必要です。たとえば、体重50㎏の人なら1日あたり50g~75gになります。生卵1個でおよそ7g、牛肉100gでおよそ20gのタンパク質が含まれています。

ただし、食品中のタンパク質がすべて体内に吸収されるわけではありません。もっとも吸収率がよいのは卵、続いて肉、魚、乳製品、豆腐、野菜の順です。

タンパク質は、動物性の食材から効率よくとれるので、毎食1皿は、肉、魚、卵を使った料理を食べて、チーズや牛乳などの乳製品も意識してとりましょう。豆腐や野菜のタンパク質は、動物性の食材と一緒にとると、吸収率が上がります。

肉類(牛肉、豚肉、鶏肉、ラム肉)/魚介類(まぐろ赤身、さば、かつお、さわら、ブリ、ホタテ、イカ、エビ)/卵/乳製品(チーズ、ヨーグルト、牛乳)/豆類(大豆、豆腐、納豆、枝豆、ひよこ豆)など

2)鉄

鉄は、タンパク質に次いで妊娠に欠かせない栄養素です。粘膜をつくる材料になるので、子宮内の環境を整えて、受精卵が着床しやすくなります。

貧血、疲れやすい、気分がふさぐなどの症状は鉄不足のサインです。

鉄の主な働き
  • 貧血予防
  • 赤血球をつくり、体内に酸素を運ぶ
  • 粘膜の代謝に関係する
  • 子宮の環境を整える
  • 免疫、メンタルに影響する
鉄が不足すると

貧血、めまい、頭痛、耳鳴り、血色不良、手足のひえ、肌あれ、爪の変形、集中力がなくなるなどの症状が出ます。

鉄の上手なとり方

女性は、鉄不足になりやすいので、男性以上にとり方に気をつけましょう。妊娠前は、1日10.5mg、妊娠初期は13mg、妊娠中期・末期になると20mgも必要になります。

牛レバー100gで4mg、カツオ100gで1.9mgの鉄が含まれています。

鉄は、ヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄のほうが体内によく吸収されます。ヘム鉄は、レバーや赤身肉、カツオなどの動物性食品に多く、非ヘム鉄は、ほうれん草やひじきなど植物性食品に含まれています。非ヘム鉄はビタミンCやタンパク質といっしょにとると吸収が良くなります。

【ヘム鉄】レバー(牛、豚、鶏)/牛肉赤身/馬肉/コンビーフ/カツオ/まぐろ/サバなど
【非ヘム鉄】ほうれん草/小松菜/ひじき/大豆/豆腐など

3)ビタミンC

ビタミンCは、卵子の老化予防に役立つ栄養素です。

活性酸素によって、細胞が酸化(サビること)して傷がつくと、老化や病気につながります。卵子が酸化すると、老化が進み、質が低下してしまいます。

ビタミンCが持つ強い抗酸化作用は、活性酸素を除去して、細胞の酸化を防ぎ、老化を遅らせる効果が期待できます。

ビタミンCの主な働き
  • 活性酸素を除去し、老化予防
  • コラーゲンの合成を促進する
  • 感染症を防ぐ
  • アレルギーを抑制する
  • 鉄の吸収率を高める
ビタミンCが不足すると

細胞の老化、シミ・シワができやすくなる、感染症にかかりやすくなる、疲れやすくなる、アレルギー症状がでる、ストレスに弱くなるなどの症状が出ます。

ビタミンCの上手なとり方

ビタミンCは、水に溶けやすく、熱に弱いので、生で食べるか、ゆでるときは短時間にすると効率よくとれます。購入後は、時間がたつにつれて栄養分が減ってしまうので、早めに食べることも忘れずに。

不要な分は尿といっしょに排泄されるので、一度に大量にとるのではなく、できるだけこまめに回数を分けてとりましょう。

果物(イチゴ、柿、レモン、グレープフルーツ、キウイ)/野菜(パプリカ、カリフラワー、モロヘイヤ、ゴーヤ、かぶ葉、じゃがいも)など

4)ビタミンE

ビタミンEは、別名「妊娠ビタミン」と呼ばれ、妊娠を望む女性には欠かせない栄養素です。

ホルモンバランスの調整や、血流促進作用、強い抗酸化作用などのはたらきがあり、妊娠体質をつくる助けになります。

ビタミンEのおもな働き
  • ホルモンを活性化させる
  • 排卵の促進、卵巣重量の増加
  • 活性酸素を除去し、老化予防
  • 血行を良くして冷え改善
ビタミンEが不足すると

冷え性、頭痛、肩こり、だるさ、生理不順、老化が進むなどの症状が出ます。

ビタミンEの上手なとり方

ビタミンEは、植物油に豊富に含まれていますが、期限が過ぎて古くなったものや、加熱したものは、酸化が進み、抗酸化作用が低下するので、早めに使いきりましょう。

ビタミンCと一緒にとると、ビタミンEの抗酸化作用が高まります

植物油(ひまわり油、なたね油、サフラワー油)/うなぎ/カレイ/サーモン/ツナ缶/アーモンド/かぼちゃ/アボカド/モロヘイヤなど

5)亜鉛

亜鉛は、男性の妊活に欠かせない栄養素ですが、女性ホルモンの作用を高めるはたらきもあるので、女性も意識してとるようにしましょう。

亜鉛の主な働き
  • 細胞の形成や新陳代謝をうながす
  • 男性ホルモンの合成促進、精子の運動率を上げる
  • 胎児の細胞分裂をうながす
  • 皮膚を守る
  • 味覚を正常にする
亜鉛が不足すると

男性の生殖能力が衰える、胎児の発育に影響する、肌あれ・脱毛、味覚障害、情緒不安定になるなどの症状が出ます。

亜鉛の上手なとり方

亜鉛は、不足している人が多いので、しっかりとるようにしましょう。亜鉛は、魚介、肉、海藻、豆類などに含まれていて、とくに牡蠣はよい供給源です。アルコールをとり過ぎると亜鉛が排泄されやすくなるので、注意して下さい。

加工食品に偏った食事は、亜鉛不足になりやすいので、なるべく手作りでバランスの良い食事を心がけましょう。

レバー(牛、豚、鶏)/牛肉赤身/コンビーフ/ラム肉/サバ/サケ/カキ/カニ/チーズ/アーモンドなど

プラス1)「葉酸」もかならず摂ろう!

妊娠体質をつくる5つの栄養素にプラスして、妊娠前からかならず摂ってほしいのが「葉酸」です。

葉酸は、妊娠前後にとることで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが低減することが報告されています。妊娠の可能性がある年齢の女性は、食事からだけでなく、栄養補助食品(サプリメント)も利用して、確実に摂るようにと、厚生労働省が推奨しています。

葉酸の主な働き
  • 胎児の神経系、脳をつくる
  • DNA・RNAの合成にかかわる
葉酸が不足すると

胎児の発育に影響する、神経管閉鎖障害の発症リスクを高め、脳神経、中枢神経の障害が起こるなどの危険があります。

葉酸の上手なとり方

葉酸は、妊娠のごく初期に必要なので、妊娠前からしっかり摂ることが重要です。1日あたりに摂りたい量は、食事から240μg、栄養補助食品から400µgで、合計640μgになります。

葉酸は、光に弱く分解されやすいので、野菜などは購入後すぐに冷蔵庫で保存し、早めに食べきりましょう。また、水に溶ける性質があるので、汁やスープごといただける料理がおすすめ。

葉酸を活性化する働きがあるビタミンB12も一緒にとりましょう。ビタミンB12は、植物性食品にはほとんどなく、肉や卵、乳製品などに含まれています。葉酸の多い食品を意識して摂りながら、サプリメントも利用して、不足しないよう気をつけましょう。

レバー(牛、豚、鶏)、葉物野菜(菜の花、ほうれん草、春菊、モロヘイヤ)/ブロッコリー/芽キャベツ/枝豆/イチゴなど

「知っておきたい妊娠体質をつくる栄養素」まとめ

今回は、妊娠体質をつくる5つの栄養素について、主な働きや上手なとり方、多く含む食材などをみてきました。

必要な栄養素をしっかりとることで、カラダ全体の健康度が上がり、子宮、卵巣、ホルモンなどの環境も整い、自然と妊娠体質に変わっていきます。

  • タンパク質
    妊娠体質をつくるためにもっとも大切。卵、肉、魚をしっかり食べる。

  • 2番目に大切な栄養素。子宮環境を整えるはたらき。
  • ビタミンC
    卵子の老化予防に役立つ栄養素。こまめに補給する。
  • ビタミンE
    別名「妊娠ホルモン」ホルモンの活性化や血流改善効果。
  • 亜鉛
    男性の妊活に欠かせない栄養素。生殖機能を維持する効果。
  • 葉酸
    妊娠前から必ずとるべき栄養素。サプリメントも利用して。

今から栄養状態を改善していけば、妊娠しやすくなるだけでなく、妊娠中、産後、育児中のあなたと赤ちゃんの健康も守ることにつながります。

妊娠したいと思ったら、大切な栄養素を意識した食生活に変えて、妊娠しやすい健やかなカラダづくりをはじめましょう。

【参考書籍】
「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」(文部科学省)
【参考URL】
「日本人の食事摂取基準2020年版」(厚生労働省)P13葉酸/P16鉄
https://www.koseikan.co.jp/revise/up_img/1582175368-794130.pdf

厚生労働省e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html